平時と有事という言葉があります。
有事とは、普段とは違う事故や事件が起こったことを意味し、一般的に有事は、「戦争」という言葉にも置き換えられます。平時はその逆で、普段通りの日常の状態です。
実は経営活動においても平時と有事があるのです。そして、平時型経営と有事型経営があるように思います。
平時型経営とは、「この先も世の中は変わらない、今まで通り」が前提の経営スタンスです。短期的利益を求め、戦術的なノウハウやテクニックが主体の経営です。SNSの活用や人間心理を操作するようなマーケティング手法が中心になります。
一方の有事型経営とは、「もしもの時」を想定して、直接的な手法や戦術はとらず、間接的曲線的なポジションと仕組みを構築し、もしもの時に被害を最小限に抑え、そののちに優位に立てることを前提とした経営スタンスです。
戦略的思考と行動が主体の経営であり、短期間で利益を出すのは難しく、爆発的な業績ではなく、ストックのようにポジションを構築していく経営スタンスです。
これは視点を変えれば、売上主義と1位主義の違いと同じです。売上主義は目先の売上を追いかけます。1位主義はシェアというストックを積み上げて行きます。フロー経営とストック経営とも言えます。
この両者が有事の事態となった時、どのような状況になるでしょうか。
それが今回のコロナ禍です。シェアというストック経営が、如何にこの環境下の中で盤石な結果を残したことは明らかでした。
一方の売上主義のフロー経営が如何に脆かったかも明らかにしました。経営には定期的に有事がやって来ます。平時型経営はその都度、振り出しに戻り、有事型経営はその都度、ポジションを上げて行きます。