ランチェスター経営ジム

岡 漱一郎の
戦略コラム
2022. 12

ニーズ無き効率化の提供

世の中は常にITによって、効率化が進んでいます。そして、それは常に陳腐化を繰り返し、入れ替わって行きます。

それを提供された市場は、止まることのない効率化を永遠に続けることになります。では、そのたゆまぬ効率化で、人は幸せになって行ったでしょうか?

実は、便利と幸せの取り違えをしているのではないかと思います。新たなソフトやアプリ、システムなどが出てきた時、人は一瞬、こう思います。効率化=楽になる。

しかし、現実は効率化して生まれた余剰時間に、更なる仕事が強制的に入って来ます。何故なら、ライバル他社も同時期に同じ効率化システムを導入すれば、そこに生まれた時間を更なる生産の時間に充てるため、24時間と制約が決まっているので、労働の濃密さは増して行くことになるからです。

効率化=幸せ、は相反の関係になってしまうのです。効率化は永遠に進み、人は激務、長時間労働となってしまいました。

会社では、折角覚えたソフトやアプリ、システムが短期間でリニューアルして行きます。直ぐに順応できるのが益々、若年層社員となり、40代50代の社員はそのスピードに付いて行けなくなっています。

今は若年層だから順応できますが、後10年もすれば、付いて行けないグループに確実に入って行くことになります。

人は、本心から効率化を求めているのでしょうか?

これを「ニーズ無き効率化の提供」と定義付けたいと思います。

岡 漱一郎

岡 漱一郎株式会社ハードリング

1962年生。岐阜県大垣市出身、愛知県名古屋市在住。
ランチェスター経営戦略と孫子の兵法を駆使する経営コンサルタント。全国20カ所で毎月勉強会を開催し、指導を受ける経営者は400人を超える。その活動がNHK「クローズアップ現代」で取り上げられ、また建築業界誌「建築知識ビルダーズ」にて「経営戦略ジム」の連載を受け持つ。
また、豊臣秀吉の最初の軍師 竹中半兵衛の家臣(竹中十六騎)、その末裔にあたる。

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