ランチェスター経営ジム

岡 漱一郎の
戦略コラム
2021. 10

職人の地位はなぜ低い

誰しも自分の職業には、関心や誇りのようなものがあると思います。そんなところから「〇〇業の地位向上」という言葉をよく見聞きします。

建築業で言えば、「職人の地位向上」などがその例ですが、そもそも論で考えると、「何故、職人の地位が低いのか」というところから思考をスタートさせる必要があるかと思います。

職人を辞書で引くと、「自ら身につけた熟練した技術によって、手作業で物を作り出すことを職業とする人のことである」となっています。

職人がいなければ、物が出来上がることはありません。部位ごとに作業を分割してオートメーションで作る人を職人とは言わず、作業員と呼びます。

この作業員は、18世紀の産業革命から世界中で爆発的に増えました。それによって従来の職人の仕事は分割化され、大量生産へと繋がりました。

その中から、作業員でありながら熟練の技を身に着け、職人と呼ばれるにふさわしい人達が現れました。

それ以前の職人は、最初から最後までを一人で作り上げる作家のような人達でしたが、資本主義が進むにつれて、その数は激減して行きました。

現在では、作業員の熟練者が職人と呼ばれるのであって、企画から販売までを手掛けている職人は、極端に少なくなっています。

作るのが上手いのか、売るのが上手いのか。

「部位的職人」、どうもここに地位が上がらない理由があるように思います。

岡 漱一郎

岡 漱一郎株式会社ハードリング

1962年生。岐阜県大垣市出身、愛知県名古屋市在住。
ランチェスター経営戦略と孫子の兵法を駆使する経営コンサルタント。全国20カ所で毎月勉強会を開催し、指導を受ける経営者は400人を超える。その活動がNHK「クローズアップ現代」で取り上げられ、また建築業界誌「建築知識ビルダーズ」にて「経営戦略ジム」の連載を受け持つ。
また、豊臣秀吉の最初の軍師 竹中半兵衛の家臣(竹中十六騎)、その末裔にあたる。

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