名目賃金と実質賃金という言葉をよく聞くようになりました。名目賃金とは労働者が実際に受け取る賃金額、実質賃金とはインフレやデフレの率と照らし合わせた賃金額を言います。
簡単に言えば、500万円の年収の社員がインフレ率2%の1年を過ごした場合、その500万円は2%目減りし、490万円の実質的価値になっているということです。
毎年2%インフレが5年続けば、その500万円は452万円の実質的価値に目減りしてしまいます。そうなると社員の生活は非常に厳しくなってしまいます。
もしこの間、会社が賃上げをしなかったとしたら、社員の流出は避けられず、求人もほぼ不可能になってしまいます。
インフレ経済とは、賃上げ経済でもあるのです。会社はインフレ率と最低でも同率、もしくは求人をしたいのであれば、インフレ率を上回る賃上げを繰り返さなければなりません。
社長は現状維持を許されない経営となるのです。インフレ率を上回る業績を上げ続けなければならないのです。
「資本主義は永遠の成長が前提で作られている」と言われます。現状維持でも良かったデフレ型経営から、成長を求められるインフレ型経営に世の中は変わったのです。
そして、原材料の値上がりから来るコストプッシュ型と言われてきたインフレから、賃金を上げ続けて行かなければならなくなった賃金インフレになってきたようです。