誰しも自分の職業には、関心や誇りのようなものがあると思います。そんなところから「〇〇業の地位向上」という言葉をよく見聞きします。
建築業で言えば、「職人の地位向上」などがその例ですが、そもそも論で考えると、「何故、職人の地位が低いのか」というところから思考をスタートさせる必要があるかと思います。
職人を辞書で引くと、「自ら身につけた熟練した技術によって、手作業で物を作り出すことを職業とする人のことである」となっています。
職人がいなければ、物が出来上がることはありません。部位ごとに作業を分割してオートメーションで作る人を職人とは言わず、作業員と呼びます。
この作業員は、18世紀の産業革命から世界中で爆発的に増えました。それによって従来の職人の仕事は分割化され、大量生産へと繋がりました。
その中から、作業員でありながら熟練の技を身に着け、職人と呼ばれるにふさわしい人達が現れました。
それ以前の職人は、最初から最後までを一人で作り上げる作家のような人達でしたが、資本主義が進むにつれて、その数は激減して行きました。
現在では、作業員の熟練者が職人と呼ばれるのであって、企画から販売までを手掛けている職人は、極端に少なくなっています。
作るのが上手いのか、売るのが上手いのか。
「部位的職人」、どうもここに地位が上がらない理由があるように思います。