マズローの「5段階の欲求」は誰しもが知っていると思います。一番上にあるのが「自己実現欲求」です。これは、自己の潜在的可能性を探求し、より自分らしく生きたいという欲求です。
この領域に入るということは、その下の4つの段階をクリアし、金銭的不安や物欲が無くなっていることを意味します。
米プリンストン大学の心理学者、ダニエル・カーネマン名誉教授の研究によると、感情的幸福は頭打ちになる「年収の分岐点」があるといわれています。つまり、年収が一定額に達すればそれ以上、年収が増えても感情的幸福は増えていかないということです。
調査結果では、年収800万円を超えると、それまで物欲は年収の増加に比例して大きくなる一方でしたが、年収約800万円以上になると増えていかないことが分かりました。
年収と欲求は比例関係です。しかし、物欲もある程度まで満たすことができれば次の欲求段階である自己実現欲求へと移っていきます。ただ、自己実現欲求は物を買いそろえて満足する物欲とは異なるものです。
しかし、多くの人は「自己実現欲求が満たされた」と勘違いします。「ある程度年収が上がると物欲がなくなる」というのは、この第5段階目の欲求を求めるステージに来ただけであって、自己の潜在的可能性の探求、より自分らしく生きることに終わりは無いのです。
それは、仕事のクオリティーにも影響するのではないでしょうか。