ランチェスター経営ジム

岡 漱一郎の
戦略コラム
2026. 04

緊縮財政論と経営論

日本は長く「緊縮」を前提に政策が語られてきました。しかし今、「責任ある積極財政」へと舵を切ろうとしています。私はこの転換の意味は決して小さくないと感じています。

失われた30年の原因は様々に語られますが、共通しているのは「将来よりも均衡を優先した思考」だったのではないでしょうか。

景気が弱い局面でも財政規律が重視され、国は投資を控えてきました。需要があっても十分に支えきれず、その結果、企業も投資を控え、賃金は伸びず、消費も動かないという悪循環が続きました。

象徴的なのがプライマリーバランス(PB)です。本来は財政の健全性を測る一指標に過ぎないものですが、「歳出と税収は一致すべき」という考えが支配し、いつの間にか経済回復より優先されるようになりました。均衡を守ることは重要ですが、成長が伴わなければ持続性は生まれません。

経営の視点で考えれば、業績が悪化している会社が原因を改善せず、収入に支出を合わせ続ければ衰退していくのは当然です。減給が始まり、採用は止まり、組織の活力は失われます。

では、この呪縛からどう抜け出すのでしょうか。鍵は政策だけではなく民間の行動にあります。政府が需要を下支えしても、企業が投資と賃上げに動かなければ循環は起きません。財政の議論は国の話に見えて、実は企業の意思決定と直結しています。

守るための均衡か、成長のための均衡か。日本が次の段階に進めるかどうかは、政策と同時に私たち経営側の姿勢にかかっているのだと思います。

岡 漱一郎

岡 漱一郎株式会社ハードリング

1962年生。岐阜県大垣市出身、愛知県名古屋市在住。
ランチェスター経営戦略と孫子の兵法を駆使する経営コンサルタント。全国20カ所で毎月勉強会を開催し、指導を受ける経営者は400人を超える。その活動がNHK「クローズアップ現代」で取り上げられ、また建築業界誌「建築知識ビルダーズ」にて「経営戦略ジム」の連載を受け持つ。
また、豊臣秀吉の最初の軍師 竹中半兵衛の家臣(竹中十六騎)、その末裔にあたる。

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