
「ひらめいた!」が口癖の社長に、私はこれまで何人もお会いしてきました。新しい企画を次々と打ち出し、一見すると行動力があり前向きに見えます。
しかし現場を確認すると、どの企画も中途半端なまま終わり、また次の企画が始まっています。結果として残るのは成果ではなく“案件の数”だけです。
問題は発想そのものではなく脈略にあります。戦略的な仮説から生まれたアイデアではないため、SNS、イベント、新サービスと企画に関連性がなく、点ばかりが増えて線にならず、面にもなりません。
そのしわ寄せを受けるのは社員です。優先順位が曖昧な仕事が増え、本業に集中する時間が削られ、忙しいのに成果が出ない状態が続きます。
やがて現場は疲弊し、「また始まった」という空気が組織に広がり、本業の業績まで落ちていきます。多くの場合、原因は市場環境ではなく社長の思いつき経営です。
私はまず全ての企画を並べ、何が繋がり、何が繋がらないのか、将来効果を生むか、社会性を持つかを整理します。そこで初めて続けるべきものとやめるべきものが見えてきます。
重要なのは企画を増やすことではありません。残すべき企画を選び関連づけ、再現性のある形に落とし込み「仕組み」にすることです。経営はアイデアの多さでは決まりません。
少数の正しい取り組みを積み上げてこそ成果になります。会社を弱らせるのは能力不足ではなく、選択せず増やし続ける経営にあります。