ランチェスター経営ジム

岡 漱一郎の
戦略コラム
2026. 03

選択せずに増やし続ける経営

「ひらめいた!」が口癖の社長に、私はこれまで何人もお会いしてきました。新しい企画を次々と打ち出し、一見すると行動力があり前向きに見えます。

しかし現場を確認すると、どの企画も中途半端なまま終わり、また次の企画が始まっています。結果として残るのは成果ではなく“案件の数”だけです。

問題は発想そのものではなく脈略にあります。戦略的な仮説から生まれたアイデアではないため、SNS、イベント、新サービスと企画に関連性がなく、点ばかりが増えて線にならず、面にもなりません。

そのしわ寄せを受けるのは社員です。優先順位が曖昧な仕事が増え、本業に集中する時間が削られ、忙しいのに成果が出ない状態が続きます。

やがて現場は疲弊し、「また始まった」という空気が組織に広がり、本業の業績まで落ちていきます。多くの場合、原因は市場環境ではなく社長の思いつき経営です。

私はまず全ての企画を並べ、何が繋がり、何が繋がらないのか、将来効果を生むか、社会性を持つかを整理します。そこで初めて続けるべきものとやめるべきものが見えてきます。

重要なのは企画を増やすことではありません。残すべき企画を選び関連づけ、再現性のある形に落とし込み「仕組み」にすることです。経営はアイデアの多さでは決まりません。

少数の正しい取り組みを積み上げてこそ成果になります。会社を弱らせるのは能力不足ではなく、選択せず増やし続ける経営にあります。

岡 漱一郎

岡 漱一郎株式会社ハードリング

1962年生。岐阜県大垣市出身、愛知県名古屋市在住。
ランチェスター経営戦略と孫子の兵法を駆使する経営コンサルタント。全国20カ所で毎月勉強会を開催し、指導を受ける経営者は400人を超える。その活動がNHK「クローズアップ現代」で取り上げられ、また建築業界誌「建築知識ビルダーズ」にて「経営戦略ジム」の連載を受け持つ。
また、豊臣秀吉の最初の軍師 竹中半兵衛の家臣(竹中十六騎)、その末裔にあたる。

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